結晶性ポリマーの構造と物性との因果関係

私は化学メーカーで、ポリマーの開発に携わっている。これまでの短い経験をもとに、頭を整理するという意味でも、結晶性ポリマーの構造と物性との因果関係について書いてみる。

まず、結晶性ポリマーの構造パラメータとしてはどのようなものがあるだろうか。結晶性ポリマーは、結晶性とは言っても、非晶と結晶の複合体である。無機とは全然異なる。したがって、全体の中での結晶の割合=結晶化度というパラメータがある。また、非晶と結晶の複合体であるため、非晶の構造パラメータと結晶の構造パラメータに分けられる。構造パラメータとしてどのようなものがあるか、挙げられるだけ挙げてみる。

非晶の構造パラメータ

  • tie分子量
  • 非晶配向
  • 絡み合い点間分子量
  • コンフォメーション

結晶の構造パラメータ

  • 結晶化度
  • 結晶配向
  • 結晶子サイズ
  • 結晶歪み・欠陥
  • 結晶長周期(ラメラ厚)
  • ラメラの量
  • ラメラ配向

ポリマー開発において、重視される物性とはどのようなものがあるだろうか。挙げてみる。

ポリマーで重要な物性

  • 引っ張り破断強度
  • 突き刺し破断強度
  • 引き裂き強度
  • 耐熱性
  • 耐衝撃性
  • バリア性

構造と物性との関係は、どのようになっているだろうか。私の感覚で書いてみる。

構造と物性の関係

引っ張り破断強度

引っ張り強度は、結晶化度、結晶配向、非晶配向、tie分子量などの影響が大きいように感じる。

引っ張り強度を、細かく考えると、ヤング率と、伸度の掛け合わせで決まる。ヤング率が高く、伸度が大きければ、引っ張り強度も強くなる。

ヤング率は、結晶化度、結晶配向、非晶配向、tie分子量が高いほど、高くなる。

伸度は、結晶化度、結晶配向、非晶配向が低く、絡み合い点間分子量が高いほど、高くなる。

これよりわかるように、一般に、ヤング率と伸度はトレードオフの関係がある。つまり、同じ材料で製造プロセスだけ変えてフィルムなどの製品を作ろうとした場合、硬くて脆い(ヤング率が高く、伸度が低い)ものができるか、柔らかくてよく伸びる(ヤング率が低く、伸度が高い)ものができるか、の2パターンになる。

その中で、強度を最大化したいということなら、強度を最大化するような最適パラメータを見つけるということになる。

突き刺し破断強度

構造と突き刺し強度との関係も、構造と引っ張り強度との関係とほぼ同様である。ただし、突き刺し強度試験は、全方位への引っ張り強度試験だと理解することができるため、1方向だけではなく、全方向への平均強度を高めるように構造を最適化する必要がある。

 

続きは、また違う記事で追記する。